ARTROでは11月17日(木)〜12月18日(日)までGalerie Supermarktとのコラボレーション展示として傅斯特(Fu Site)と 毛冠帅(Mao Guanshuai)による二人展「interplay of shapes」を開催致します。 Fu SiteとMao Guanshuaiの作品は、具象表現と抽象表現の揺らぎの中で形になる前の形のような「本質」をそれぞれの方法で探求しております。 本展では、フランスと中国をそれぞれベースに活動する作家の作品を築100年以上の伝統的な蔵を改装した展示スペースARTROにて展示をすることで、その場の特徴を汲み取ったサイトスペシフィックなキュレーションを試みます。 Fu Siteは中国に生まれ現在はフランスを拠点として作家活動をしております。 Fu Siteの絵画作品は、現実と夢の間のような幻想的で超現実的(シュルレアリスム的)な雰囲気を纏っており、具象と抽象の間を軽やかに揺らいでいます。そのため、Fu Siteの作品に描かれたイメージは鑑賞者の中であらゆる定義やカテゴリーから逃れ、分類されることなく漂います。ピーテル・パウル・ルーベンスの絵画を見た際に、そこから抽象画の要素を感じ取ったと言う作家の作品は、具象的なイメージの背後にある抽象性、抽象的なイメージの中にある具象性を探っており表裏一体の面を持ちます。また、絵画や映画の一場面などあらゆるイメージをコンピューターを用いて再解釈することによって構成することによって描かれた作品のイメージは、超現実的な雰囲気を纏いながらも現実とのつながりを持ちその均衡を保っているかのようです。 Mao Guanshuaiは、中国寧波に生まれ現在は上海を拠点に活動しており、主に木彫刻作品を制作しております。 2013年より木彫作品を作り始めたという作家は、木という素材の質感を生かしながら私達の現実世界には存在しないような造形を彫り出すことを試みております。「もの」自体に宿る本質を木彫の特徴を昇華させ造形しておりますが、もの自体の「本質」というとても抽象的テーマを扱いつつも、作家は現代の若者を囲む刺激的な社会からインスピレーションを受けており作品自体は現代的な感覚に溢れています。Mao Guanshuaiは、鑑賞者が作品を見る際に認識する具象的な解釈を秘めることで、例えば花が開き、竹の節が伸びていく予感のような抽象と具象の間の調和を象徴的に表現しています。 私達は、生きていく中で身の回りの物事に名前をつけカテゴライズし秩序を作ることで世界を認識していますが、Fu SiteとMao Guanshuaiは、それらのラベルが貼り付けられる前の捉え難いが確かにそこに在る「本質」を抽象表現と具象表現の調和の中で探求しています。 ホワイトキューブとは趣を異にするARTROの陰の中で両作家の形の戯れと空間との調和を是非ご高覧いただけますと幸いです。 An exhibition, “interplay of shapes,” will be held by Fu Site and Mao Guanshuai from November 17th to December 18th. Guanshuai’s works explore in their own way the “essence” of the form before it takes shape within the fluctuation between figurative and abstract expression. In this exhibition, we will present works by artists based in France and China in the exhibition space ARTRO, a renovated 100-year-old traditional warehouse, in an attempt to create a site-specific curation that incorporates the unique characteristics of the space. Fu Site was born in China and currently lives and works in France, and his paintings have an illusory and surrealistic atmosphere, somewhere between reality and dreams, and oscillate freely between figuration and abstraction. The images depicted in Fu Site’s paintings therefore escape all definitions and categories, floating in the viewer’s mind without being categorized. The work of the artist, who said he sensed elements of abstraction in the paintings of Pieter Paul Rubens, explores the abstraction behind the figurative image and the figuration within the abstract image. The images in his paintings, which are composed by computer-generated reinterpretations of paintings, movie scenes, and other images, seem to maintain a balance between a surrealistic atmosphere and a realistic connection to our reality. Mao Guanshuai, born in Ningbo, China and currently based in Shanghai, mainly creates wood carvings. Mao Guanshuai’s work is full of contemporary sensibilities, inspired by the stimulating society that surrounds young people today, while dealing with the very abstract theme of the “essence” of things themselves. Mao Guanshuai symbolically expresses the harmony between the abstract and the figurative, such as the premonition of a flower opening and a bamboo joint growing, by concealing the figurative interpretation that the viewer perceives as a symbol when looking at the work. We recognize the world by putting names and categorizing and organizing the things around us in our daily lives, but Fu Site and Mao Guanshuai explore the “essence” that exists before these labels are attached, in a harmony of abstract and figurative expressions. We hope you will enjoy the harmony of the two artists’ play of forms and space in the shadow of ARTRO.
Goods
鑑賞者と作品を繋ぐきっかけに。 展示に合わせ京菓子司金谷正廣とのコラボによるお菓子を販売いたします。その他、期間限定のドリンクもご用意しております。
琥珀糖
Mao Guanshuai の作品は、自然物である”木”を素材としながらも、そこに現れる自然の曲線と共存するような作品を制作されています。 琥珀糖は、透明の寒天液に木目をイメージした茶色い寒天液を流し込んで作ってゆきます。 熱の力学や流体の法則に従っているのだと思いますが、落とし込まれた2種類の液体に少し力を加えると、自然な流れにそった曲線が現れます。一つとして同じ線が生まれない自然の揺らぎを感じていただけるよう、なるべく同じ形に切りそろえて乾燥させています。 また、作品では特徴的な大きな穴があいております。空洞となった空間にあったはずの”木”の一部分。お菓子はその不思議な感覚をイメージした形になっております。 作品は木材を削っていくことにより造形されます。 作家がその過程において、木材の中心という概念や始まりの起点といったものをどのように捉えているのだろうと想像すると、穴の開いた構造は中心を欠いているようにも見えますし、中心を取り除かれたことにより木目一つ一つの自然の線を際立たせているようにも思います。 和菓子ではなかなかこういった大きなものを削って作っていくというような手法は多くありません。 逆に中心となる素材の周りに色々な素材を足す、或いは包むというのが一般的な製造方法なのです。
真盛豆
真盛豆は中心に炒った黒豆、周りには大豆の粉と砂糖、表面は青のりというお菓子なのですが、今回は作品のような素材感を出すために、表面にほうじ茶と和三盆糖を使用させていただきました。 真逆の製造過程ではございますが、作家が”木”を前にして何を思っているのか、というようなことを想像し、作品をご鑑賞いただけましたら幸いでございます。
Drinks
Artist Information
Fu Site
1984年、中国遼寧省生まれ。 Fu Siteの絵画作品は用語や定義、明確な枠組みによるカテゴライズから逃れ、具象と非具象の間をゆるやかに揺れ動き、私たちの認識を揺さぶり続けます。2006年に北京の清華大学、2011年にヴェルサイユ美術学校、2014年にノールパドカレ高等美術学校を卒業。2013年、第1回Canson Prix Art School絵画賞を受賞。 Born in Liaoning, China. Site Fu have graduated from Tsinghua University (Beijing) in 2006, and from the École Supérieure des Beaux-Arts du Nord Pas de Calais(France), in 2014. Fu actualy lives and works in Paris. In recent years he has done several solo exhibitions and numerous international group exhibitions including "Fictions in fragments", Los Angeles, (U.S.A, 2021) Forking Paths (Shanghai, 2018), Disruped Narrative (Paris, 2017), Politicians (Paris, 2014) ) etc